お茶は、各産地に応じた栽培基準で栽培され収穫されます。昔のような手による茶摘みは少なくなり、栽培も加工も機械化されましたが、おいしいお茶を作ろうという作り手の心は今も昔も変わっておりません。
また、お米に「コシヒカリ」や「ササニシキ」等の品種があるようにお茶にも多くの品種がございます。
最も多いのが「やぶきた」という品種で、全国の約8割の茶園で栽培されています。「やぶきた」のほかにも、それぞれ色や香りや味に特徴のある品種がつくられています。
静岡県のお茶の品種
山の息吹(早生)
新緑を感じさせる軽やかな香気。渋味が少なく、旨味を感じさせてくれます。
旨味成分のアミノ酸が高く、渋味成分のカテキンが少ないのが特徴です。
おくひかり(晩生)
製造された茶の形は、剣のように先端が伸び、堅く締まった感じです。また、色沢は濃緑で、冴えた光沢があります。香りは「やぶきた」と異なった香りを持ち、色沢は明るく良好です。味はやや渋味を感じますが、ソフトで清涼感があります。
つゆひかり
味は良好で、特に水色が優れます。茶の色沢は明るい緑色が爽やかさを感じさせてくれます。
香駿
製造された茶の形は、細くよれた形となります。香りは「やぶきた」と異なる清涼感があって持続し、味は温和で調和がとれています。
さえみどり
製造された茶の色は、明るく冴えた鮮緑色です。上品な香りが特徴です。味は渋味が少なく、旨みがあります。
おくみどり
製造された茶の形は、細くよれて、色は濃緑色、香りはさわやかで、すっきりしています。
めいりょく
茶の芽の伸び、揃いがよく、安定した収量があります。香りは、すっきりして、爽やかです。色は明るくてきれいです。
ふうしゅん
一番茶(4月~5月ころ)の品質は、濃緑色の色沢となります。香り、水色、味は大きな欠点もなく良好です。二番茶(一番茶終了後50日)、三番茶ともに良好です。
お茶の栽培
日本は南北に長いので場所によって異なりますが、五月の八十八夜の頃に摘みはじめ、この頃に摘まれたお茶は春の息吹を含んだもっとも香味豊かなお茶とされ、新茶として人気を集めています。
八十八夜の頃のお茶がおいしいわけは、一芯二葉といって2枚の若葉のついた新芽の先端だけを摘んでいるからです。この頃に摘んだ茶の葉は、新鮮で柔らかく、最上級の茶を生み出します。ただ、気温も上がり成長が進むと、一芯三葉といって少し成長した葉もいっしょに摘むようになります。
茶の木は生命力が強く、一度摘んでもまた新たに新芽が伸びてくるため、年に2~4回の収穫が可能です。八十八夜の頃に摘まれる一番茶から始まって、二番茶、三番茶、四番茶と続きます。ただし、葉は気温が上がり日射しが強くなる気候になると硬くなってくるため、後で摘まれるお茶ほど品質が低下していきます。また、番茶は、各番の間でとれたものを指します。
年間作業カレンダー
お茶の加工
お茶の製造は、明治時代中頃まではすべて手作りでしたが、現在では近代的・衛生的な製茶機械によって製造されています。最近では、大型工場やFA(ファクトリー・オートメーション)などのコンピューター制御されている製茶工場も増えています。
荒茶製造工程(荒茶工場)
茶園で摘まれた茶の葉は、最初に荒茶工場へ運ばれます。
加工の工程は摘まれた葉の「蒸し」に始まり、いくつかの「揉み」工程の後に「乾燥」を経てできあがり、荒茶と呼ばれます。
できた荒茶は仕上げ工場に送られます。
仕上茶製造工程(仕上げ工場)
出来上がった荒茶は仕上げ工場に運ばれ、選別してきれいに形を整え、さらによく乾燥させた後に包装され、「仕上げ茶」として一般消費者へ販売されます。